Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Leggi 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 268.946 caratteri · 520 schermate
米友ほどの緊張した男が、そういう危険な状態に身を置くことは不覚千万のようだけれど、また、見ようによっては、この男なればこそで、どう間違っても、ざまあ見やがれ! とドヤされるような醜体を演ずることのないのは保証してもよろしいでしょう。いや、改まってそんな保証をするまでもなく、この男としては今日まで、一定の寝室と、一揃いの寝具によって一夜を御厄介になることよりも、居たところ、立ったところが、随時随所に、坐作寝食の道場なのだから、湯炉炭の上に寝ることも、平常底の修行の一つと見てよろしいかも知れません。
とにかく米友は、ここでいい心持に舟を漕ぎはじめたことは事実なんだが――それにしても奥の一間は……
三十
奥の一間のことは問題外として、白河夜船を漕いでいた宇治山田の米友が、俄然として居眠りから醒めました。
それは、たしかに、たった今、軒を伝うて颯と走ったものがあったからです。
つまり、今時、このところを走るべからざるものが走ったから、それで米友が俄然として眼をさましたのです。走るべきものが走ったのならば、米友といえども、こんなに慌しく居眠りから醒めるはずはありません。