Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Leggi 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 268.946 caratteri · 520 schermate
今ここに現われた物影は、手品つかいの芸当を習い覚えて、その伝をここでひそかに実演を試みているわけでもあるまいが、その現われたところは、まさにあれと同工異曲で、御当人はそれを気にしていないこと勿論だが、もし、他人があって、たとえば剣の巷にある人を呪うて貴船の社へ深夜の祈りに出かけた悪女――には、出逢うところのほどの人がみな倒れて死んだように、相当の被害が無くては納まらないほどの事態なのだが、幸いにこの奇怪な現象は、誰の眼にも触るることなしに、ある時間を限っての後、消滅してしまいました。
が、奇怪な現象が消滅すると共に、物影そのものの姿も、尋常一様の漂浪者の姿となって残されたが、それがやがて松柏の林の中へと、暫くは身を没して現われることがありませんでした。
しかし、また、いくばくもなくして、同じような身を登山表参道へ現わしたところを見ても、この人の四肢五体が全く無事であったことがわかり、同時にあの青い火の光というものが、決して人をそこなう力のある気体ではなかったということが、充分に証明されるのです。
してみれば、あれはいったい何のいたずらか。山に通なる人は言う、胆吹の山には、他の山に見られない幾多の怪現象が起る――本来、胆吹のように山が独立していると、天象の変化は、他の連脈的アルプス地帯に於けるよりも一層著しい