Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Leggi 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 268.946 caratteri · 520 schermate
それは、その昔、弁信が自分の家の甲州上野原の月見寺で、机竜之助に斬られた時のあの表情と少しも変らない、やつれきった姿であるのを見ると、この人は、斬られて来たのではないかと、胸を打たれるような心になると共に、そのあたりの光景までが、弁信が伝って来た廊下づたいの構えまでが、あの時の自分の家の寺の住居そっくりが、ここへ移されたのではないかと、お雪ちゃんは一時、くらくらと瞑眩がするようになって、
「弁信さん、お前さんはまあ――」
と言ったきりです。
「お雪ちゃん、どうですか、この新しい村の、新しい御殿の住み心地は……」
と言いかけた弁信の調子は、少しも変ったものではありませんでした。無論、斬られてなんぞ来たわけではなく、これがいつもの調子の弁信なのですが、この際のことが、なんだか不意に出たようなものですから、お雪ちゃんの神経が少し昂奮し過ぎていたのでしょう。
「大へん、ようござんすね、よろしうござんすけれども、弁信さん……」
お雪ちゃんは、とりあえず問いに答えておいてから、引続いて、やっぱり怨み言の筋を引くことを如何とも致し難く、畳みかけて詰問でもするように、
「あなたという人も、あんまりじゃありませんか、わたしをこんなところへまで連れて来て――連れて来て下さった御親切も、こうして何とは知らないけれども、住み心地は悪いと