Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
Leggi 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 319.771 caratteri · 617 schermate
「いや、長居は怖れ、これで失礼――」
前後不覚に酔いしれていると思うと、なんでも知っているらしい。知ってそうしてワザとこだわるのか、知らずして無心に発する囈語の連続、とにかく、イヤな相手である、振り切って退散するに如かずと、村正氏は兵をまとめにかかると、爛酔の客は、すさまじい笑いを発しました。
「は、は、は、逃げるな、逃げるとは卑怯だよ、さだめし貴殿は、これがあるから、これが目ざわりで、子供たちを遠のける、こんなものは――」
と言って、今まで押えつけたように仰向けの姿勢を崩さなかったのが、急にその頸にしていた一方の手を引抜いて、枕頭の大小の下げ緒を引いたと見ると、それを無雑作に引寄せて、カラリと一方の方に投げ出してしまいました。
「子供と遊ぶに、こんなものは要らぬ、さあ、どちらへでもこれはお片づけ下さい、こうして席を広くして、子供を存分にこれで遊ばせて下さい」
「いや、その儀にも及び申さぬて」
村正氏は、つかぬ事を言って、とにかく引上げが肝腎だと思うが、無気味なことには、動けないのであります。別段、そくいづけを食っているわけではなし、抱きすくめられているわけでもなし、衣の裾の一方を押えられているわけでもないのに、動こうとして動けない、立直ろうとして、いよいよ足がすくむ思いがする。