Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
Leggi 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 319.771 caratteri · 617 schermate
「はい」
「まあ、可愛らしいこと、身じまいを直しているところが何という頼もしいんでしょう、そうして身なりをきちんとし、髪を取上げたところは、どう見ても水の垂れる色男――お豊さんとやらが惚れるも無理はない」
「はい」
「お豊さんのためには死んで上げたけれども、わたしのためにはどうして下さるの」
「…………」
「そんなに、もじもじしないで、こっちへお入りなさい、誰も取って食おうとは言いませんよ」
「…………」
「そんな気の弱い、それは意気地無しというものです、女が許してお伽を命ずるのに、それを聞かない男がありますか」
「…………」
「どうしたのです、その突っころばしは、あんまり骨がないので歯が痒い」
焦れ立ったお銀様は、もう経机の前に経かたびらを装うて、算木筮竹を弄している女易者の自分でなく、深々と旅寝の夜具に埋もれて所在のない寝姿を、われと我が身に輾転してみるお銀様でありました。
お銀様から迫られた色男の真三郎は、もじもじして一方に固まっていたが、急にふるえ上って、
「もし……念のために伺いますが、ここはあの吉田御殿とやらではございませぬかいのう」
「何を言っているのです、吉田がどうしました、御殿がどうしました、近江の国は長等山の麓、長安寺の境内、小町塚の庵がここなんですよ」