Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠2

中里 介山

Leggi 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.601 caratteri · 387 schermate

Aozora Bunko

「ちょっ、どうしたと言うんでしょう、あっちこっちで吠え廻ってさ」

お玉はムクの吠えている裏口の方へ身をよじらせて、

「ムクや、ムクや」

烈しく吠えていたムクはこの呼び声で、また驀然に土間を突き抜けて、前のところへ戻って来て、行商体の男に向って鋭い睨め方。

「梨地に金蒔絵……絵は住吉の浜でございますな」

「そうでございましょう、松がよく出来ておりますね」

お玉は、行商体の男が見たいというのだからその印籠を見せると、男はそれを捻くって、しきりにながめておりましたが、

「それに紐と言い、根付と言い、安い品じゃございません」

「うちなんぞにある品ではございません、拾い物でございますよ」

「拾い物、とおっしゃると、ちと心当りがありますね、どちらで拾いました」

「昨晩、古市で」

「古市で……そうでございましたか。あのもし、あなた様は間の山へおいでになるお玉さんというのではございませんか」

「はい、私がその玉でございますが」

「そうして昨晩、備前屋へお招ばれなすったお玉さん」

「へえ、あそこはたびたび御贔屓になっておりまする、そして昨晩も」

「昨晩もあの、おいでになりましたか」

「お伺い致しました、その帰り途にこの印籠を拾いましたものですから、これからお届けに参ろうと存じます。