Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠2
中里 介山
Leggi 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.601 caratteri · 387 schermate
「今日は少し遅いよ、父さんが怒るだろう、かまやしないけれど」
お杉はこう言って空を仰ぐと、その頭の上を驚かすように、烏の群が唖々と過ぎて行く。
「まだ、烏が飛んでいるよ、暢気な烏だねえ」
お杉は口が軽い、歩きながらも何か言ってみねば納まらない性質であった。
「あの烏はどこへ行くのでしょうね」
お玉は黙って、烏の過ぎ行く方をながめていたが、
「朝熊山の方に巣があるのでしょうよ」
「鳥は古巣へ帰れども……お玉さん、お誂え向きだね。あれ、まだ常明寺の鐘が鳴っているよ、夕べあしたの鐘の声……ね、ほんとにお玉さんのお誂えの通りだよ」
「そうですねえ」
お玉は、にこやかに笑った。
「けれども陰気だねえ。わたしはあんな陰気な歌よりは、投げさんせ、抛らさんせで、陽気にやる方が好きだけれど」
お杉はお玉の面色をうかがうようにしたが、お玉は真直ぐに向いたきりで何とも言わなかったから、お杉はまた、
「それでも、お玉さんがあの歌をうたうと、お客様がみんな感心してしまうのだからね。わたしだってなんだか悲しくなって、気を引かれてしまいますわ」
「今は流行らないんだけれど、あれが本歌だと、お母さんが、そ言って教えたもんだから」