Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
Leggi 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 242.044 caratteri · 477 schermate
が行手を遮って、ここより内へは一寸も入れない。さりとて元の大洋へ戻すこともようしない。その意地悪い抑留を蒙った亡霊共は、この洲崎のほとりに集まって、昼は消えつ夜は燃え出して、港へ帰る船でも見つけようものならば、恨めしい声を出して、それを呼びとめるから、海に慣れた船頭漁師もおぞけをふるって、一斉に櫓を急がせて逃げて帰るという話。
そのころの最新知識者であり、科学者である駒井甚三郎が、今宵はその亡霊に悩まされているというのは不思議なことです。駒井は今日このごろ頭が重く、何かの憂いに堪ゆることができない。憂いが悲しみとなって、心がしきりに沈んで行くのに堪えることができない。窓を推して見ると、亡霊の海波が悲愁の色を含んで、層々として来り迫るもののようです。潮流は地の理に従って流るべき方向へ流れているに過ぎないし、詩人でない駒井は、「そぞろに覚ゆ蒼茫万古の意、遠く荒煙落日の間より来る」と歌うことも知らないから、
「おれは今、何を憂えているのだろう、何が今のわが身にとって、この憂いの心をもたらす所以となっているのだ、わからない」
人間と交渉を断って、科学と建造に他目もふらぬ今の生涯には、過去は知らないが、少なくとも今の生涯には、自分として多くの満足を見出せばとて、悔いを残してはいないはずだ。