Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
Leggi 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 242.044 caratteri · 477 schermate
そんなことを考えれば考えるほど、気が滅入って、あらぬ人に疑いをかけてみたがったり、世間を呪いたがってくる。全くこんな晩には早寝をするにかぎると思い直して、お雪は次へ行って帯を解こうとすると、廊下にバタバタと人の足音があって、
「さきほどはどうも、失礼を致しました」
と障子をそっとあけたのは、以前、お雪のいない時に物売りに来たなまめいた女です。
「何か御用?」
帯を解きかけたお雪がこちらを見て返事をすると、女もお雪を見て、ちょっとはにかんで、
「あの――さきほど、そこいらに櫛が落ちてはおりませんでしたろうか。いいえ、つまらない櫛ですから、どうでもいいのですけれど……」
「あ、櫛ですか、落ちていました」
お雪はほどきかけた帯をちょっと締め直して、
「落ちてはいましたけれど、お気の毒さま、こんなに割れていましたよ」
「まあ」
お雪が行燈の上にさしおいたお六櫛の二つに割れたのを取って見せると、
「おやおや……わたくしのそそうですから仕方がございません」
女はしょげて、二つに割れた櫛を受取り、
「どうもお邪魔を致しました、お休みなさいませ、よろしく」
といって竜之助の寝ている方を横目でチラリと見て、障子を立てきって出て行きました。