Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
Leggi 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 242.044 caratteri · 477 schermate
「オレのだい、オレのだい、オレの下駄だってえばよう」
下卑た声が甚だしい耳ざわりで、混乱の中から起るのを聞いていると、たしかにこの混乱の原因は、下駄の擁護から起っているらしい。人より三分間ばかり下駄を後に穿くか、先に穿くかという問題から、なぐり合い、つかみ合い、引掻き合い、取組み合いが起ったものらしい。どうもそのほかには、お角にも原因らしいものが見当りません。
幸いに、お角は少しばかり高いところにいたものですから、この混乱の現状を、活動写真を見るよりも鮮やかに見て取ることができました。しかし、お角は、この騒ぎは、甲府の一蓮寺の時のように、大事にはならないと見て取りました。混乱するだけ混乱させ、取疲れるまで取組ませておけば、おのずから静まる性質のものだと、タカをくくっていたのです。
「オレのだい、オレの下駄だと、先刻からいってるじゃねえかよう」
こういう場合の噛み合いの特長は、きまった相手というものがなく、最も手近なところにあるありあわせの頭がその相手であります。喧嘩の上手というのは、最も僅少の時間に、最も多くの頭をなぐり、素早く身をひく人間のことで、その最も拙劣なのは、最も多くなぐられながら、その一人の相手をもつかまえることのできない人間であります。