Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
たいしゅうぶんげいさほう
大衆文芸作法
直木 三十五
Leggi 大衆文芸作法 (たいしゅうぶんげいさほう) di 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 63.833 caratteri · 126 schermate
が、漸く声だけは立てずに済ませると、小声で云った。
「先生、手ひどいことだけは、もうどうぞ」
「よしよし、だが、こちらに隙を造らそうとすると、そちらに隙が出来て来る。良いか」
「はい」
「俺はこれでも、まだお前の心はすっかり見えるわ。だが、小兵衛。覚悟は良いのう」
「何の覚悟でございます」
「覚悟は覚悟だ。俺は今に乱心するにちがいない。すればお前の命も危いぞ」
「先生」と云った小兵衛の声は慄えて来た。
「お前は逃げようとしているな。逃げればお前の足は動かぬぞ」
「先生」
「ははア。またお前は俺を殺そうとして来たな」
「先生。そんなことは、もう仰言らずにいて下さい」
「よしよし。さあ来い」
また二人は暫く黙って歩いていった。が、小兵衛は自分の心が手にとるように師の背中に映っているのだと思うと、自分の心の一上一下の進退が、まるで人の心のように思えて来た。
「先生」
「何だ」
「私はもう恐しくて歩けなくなりました」
「馬鹿な奴だ。お前は俺を殺せば良いのだ。ただ殺せ。遠慮は入らぬ。俺はいずれ、近々に太閤の奴にしてやられるにちがいないのだ」
「先生」
「俺は太閤に殺される位なら、今お前に殺される方が満足だ。