Classici giapponesi con furigana
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てんのはいざい
天の配剤
菊池 寛
Leggi 天の配剤 (てんのはいざい) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 2508 caratteri · 5 schermate
三十銭の観覧料が、初日だったので半額の十五銭だったのだ。
汚い四等席の畳の上に、自分は腰を落着けた。が、自分はこんなことを考えた。たとえ、四等に蹲って居ても、こゝに集まって居る見物の殆どすべてよりも、芝居に就いては、分って居るのだ。そう思うと、淋しい痩我慢が出来た。自分は可なり熱心に見て居た。
一幕目が了ったときだった。自分の横へ、一人の職員風の若い男が来て坐った。青い棒縞の汚い着物を着て居た。
「これ、なんと云う芝居ですか。」と、云ったような調子で、狂言に対する自分の註釈を求めた。芝居に対する知識を、内心で得意にして居た自分は、そう訊かれると、得意になって話し出した。公衆劇団の性質やら、狂言の主題や、新劇運動の主旨と云ったようなものを、得意になって話したように覚えて居る。若者は、熱心に聴いて居るような風をして居た。
二幕目が始まる前に、自分は便所へ立った。席へ帰ろうとしたときに、もう幕が開いて居た。強いて帰るほどの席でもなかった。廊下にも沢山の人が立って見て居たので、自分もそこで立って見ることにした。そうした方が、四等席で見るよりも、よく見えたのである。