Classici giapponesi con furigana
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てんしゅものがたり
天守物語
泉 鏡花
Leggi 天守物語 (てんしゅものがたり) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 20.593 caratteri · 42 schermate
夫人 それだけの事か。
図書 且つまた、大殿様、御秘蔵の、日本一の鷹がそれまして、お天守のこのあたりへ隠れました。行方を求めよとの御意でございます。
夫人 翼あるものは、人間ほど不自由ではない。千里、五百里、勝手な処へ飛ぶ、とお言いなさるが可い。――用はそれだけか。
図書 別に余の儀は承りませぬ。
夫人 五重に参って、見届けた上、いかが計らえとも言われなかったか。
図書 いや、承りませぬ。
夫人 そして、お前も、こう見届けた上に、どうしようとも思いませぬか。
図書 お天守は、殿様のものでございます。いかなる事がありましょうとも、私一存にて、何と計らおうとも決して存じませぬ。
夫人 お待ち。この天守は私のものだよ。
図書 それは、貴方のものかも知れませぬ。また殿様は殿様で、御自分のものだと御意遊ばすかも知れませぬ。しかし、いずれにいたせ、私のものでないことは確でございます。自分のものでないものを、殿様の仰せも待たずに、どうしようとも思いませぬ。
夫人 すずしい言葉だね、その心なれば、ここを無事で帰られよう。私も無事に帰してあげます。
図書 冥加に存じます。
夫人 今度は、播磨が申しきけても、決して来てはなりません。