Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

あまくさのはる

天草の春

長谷 健

Leggi 天草の春 (あまくさのはる) di 長谷 健 (はせけん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7293 caratteri · 15 schermate

Aozora Bunko

問答は果てそうにない。運転手はその問答を乗せたまま走り出した。結果はわかつていた。女は完全に勝つたのである。心臓のつよい女だな、と、ささやく乗客の声も聞えぬものの如く、女はすでに乗込んでいる男から、うまくやつた、と、ほめられ、いかにも得意そうに、人込みの中におし分けてはいるのであつた。

やはり天草の女に違いなかつた。

バスは、主として海岸ぞいに走つた。道路の凸凹がはげしく、私はしばしば天井に頭をうちつけなければならなかつた。右手遙かな海上の白い波頭は、あきらかに時化ていることを説明しているもののように、歴然とバスの中からも受取れた。赤崎、下津江、大島子と、海岸ぞいに走るバスは、時に島の部落の中を過ぎる。赤い椿の、わら屋根の上におおいかぶさつた南国風景が、青い海を背景にして、きわめて印象的だ。時には、古がわらのひさしを、ところどころくれないに色どつているのを、一瞬バスの窓から垣間みることもある。

子供たちが、椿の花輪をうちふりながら、私たちを見送つてくれる。家の広場に落ちた紅椿の間のえさを、あさり歩くにわとりなど、一寸かめらにでも収めたい一こまであつた。