Classici giapponesi con furigana
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あまくさしろうのようじゅつ
天草四郎の妖術
国枝 史郎
Leggi 天草四郎の妖術 (あまくさしろうのようじゅつ) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 8401 caratteri · 17 schermate
併し不思議は夫ればかりで無く、円い満月の真中所にポッツリ点が出来ましたが夫れは何うやら穴らしく、そこから一人の老人がスッポリ体を抜け出すと橋の上へ下り立ちました。
だんだん此方へ遣って参ります。
見ている中に老人は地上間近く近寄りましたが、よくよく見れば其の老人は、今尚草の上に胡座を掻き呼吸を吐いている老人と、瓜二つではありませんか、似たというより二個の老人は全く同一の人間なのです。
斯うして橋上の老人は呼吸を吐いている老人の口許近く参りましたが、不意に形が小さくなり、一寸ばかりになったかと思うと、身を踴らせて口の中へピョンと飛び込んで了いました。
途端に此方の老人はパクリと口を閉じましたが忽ち橋は消え失せて、驚いて見ている四郎の眼前には老人が草に坐わっているばかり他に変ったことも無く橙果色をした月の面にも別に穴などは開いていません。
と、老人は腹を撫でましたが、
「おい、宗意、居心地は何うだ?」
腹に向かって呼びかけました。
「左様さ、先は平凡だの」腹中の老人が喋舌るのでしょう、斯う云う声が聞えて来ましたが「お前は何うだえ、宗意?」
「俺かな。俺は大浮かれさ。