Classici giapponesi con furigana
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「ダブックウ」ひょうりゅうき
「太平洋漏水孔」漂流記
小栗 虫太郎
Leggi 「太平洋漏水孔」漂流記 (「ダブックウ」ひょうりゅうき) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.264 caratteri · 37 schermate
三人は、ホッと重荷を下したような気になった。
「マア、なんて、いいところだろう」
ナエーアが、踊るような足取りで、水際を飛んであるいている。珊瑚虫が、紺碧の海水のなかで百花の触手をひらいている。そのあいだを、三尺もあるようなナマコがのたくり、半月魚という、ながい鎌鰭のあるうつくしい魚がひらひらと……。そして、森はまた花の拱廊をつらねている。
「僕はこの島を、新日本島ということにした。ハチロウのために、そう呼んでやろうよ」
それから二人は、なかにハチロウを挾んで森のなかへ入っていった。すると、野生のヴァニラの茂みのなかに埋もれて、いまはボロボロになっている十字架が一つある。ああ、白人の墓だ――と、キューネは、びっくりして駈けよった。風雨にさらされてまっ黒になったその十字架には、からくも次のような墓碑銘が読めるのだ。
――R・Kという女。一八八二年にこの島にて死す。夫に死なれ生計の道も尽き、土人の妻となりしがため、名を記さず。
墓碑には、簡単にそうあったのだ。しかし、みるみるキューネの面が暗くなってゆく。白人の女が暮しようもなくなって土人の妻となった……それを恥じて、死後も名を記さない。