Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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たろうぼう

太郎坊

幸田 露伴

Leggi 太郎坊 (たろうぼう) di 幸田 露伴 (こうだろはん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7863 caratteri · 16 schermate

Aozora Bunko

」

と激まして慰めた。それでも主人はなんとなく気が進まぬらしかった。しかし妻の深切を無にすまいと思うてか、重々しげに猪口を取って更に飲み始めた。けれども以前のように浮き立たない。

「どうもやはり違った猪口だと酒も甘くない、まあ止めて飯にしようか。」

とやはり大層沈んでいる。細君は余り未練すぎるとややたしなめるような調子で、

「もういい加減にお諦らめなさい。」

ときっばり言った。

「ウム、諦めることは諦めるよ。だがの、別段未練を残すのなんのというではないが、茶人は茶碗を大切にする、飲酒家は猪口を秘蔵にするというのが、こりゃあ人情だろうじゃないか。」

「だって、今出してまいったのも同じ永楽ですよ。それに毀れた方はざっとした菫花の模様で、焼も余りよくありませんが、こちらは中は金襴地で外は青華で、工手間もかかっていれば出来もいいし、まあ永楽という中にもこれ等は極上という手だ、とご自分で仰ゃった事さえあるじゃあございませんか。」

「ウム、しかしこの猪口は買ったのだ。去年の暮におれが仲通の骨董店で見つけて来たのだが、あの猪口は金銭で買ったものじゃあないのだ。」

「ではどうなさったのでございます。