Classici giapponesi con furigana
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たろうぼう
太郎坊
幸田 露伴
Leggi 太郎坊 (たろうぼう) di 幸田 露伴 (こうだろはん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7863 caratteri · 16 schermate
今思えば真実に夢のようなことでまるで茫然とした事だが、まあその頃はおれの頭髪もこんなに禿げてはいなかったろうというものだし、また色も少しは白かったろうというものだ。何といっても年が年だから今よりはまあ優しだったろうさ、いや何もそう見っともなく無かったからという訳ばかりでも無かったろうが、とにかくある娘に思われたのだ。思えば思うという道理で、性が合ったとでもいう事だったが、先方でも深切にしてくれる、こっちでもやさしくする。いやらしい事なぞはちっとも口にしなかったが、胸と胸との談話は通って、どうかして一緒になりたい位の事は互に思い思っていたのだ。ところがその娘の父に招ばれて遊びに行った一日の事だった、この盃で酒を出された。まだその時分は陶工の名なんぞ一ツだって知っていた訳では無かったが、ただ何となく気に入ったので切とこの猪口を面白がると、その娘の父がおれに対って、こう申しては失礼ですが此盃がおもしろいとはお若いに似ずお目が高い、これは佳いものではないが了全の作で、ざっとした中にもまんざらの下手が造ったものとは異うところもあるように思っていました、と悦んで話した。