Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かのうせいのぶんがく

夫婦善哉

織田 作之助

Leggi 夫婦善哉 (かのうせいのぶんがく) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 47.834 caratteri · 94 schermate

Aozora Bunko

「――これがおれの惚れていた女か」

と、そんなお千鶴の姿ににわかにおれはがっかりしたが、ふと連想したことがあったので、

「――お千鶴さん、困るね。そんな恰好で来られては、だいいち、人に見られた場合、何とあやしまれても、弁解の仕様はあるまいよ」

言うている内に、――今だから白状するが、――おれは突然変な気を起し、いきなり手を握ろうと、……想えば、莫迦莫迦しいことだった。その時、何故、そんな気を起したのか、その瞬間、お千鶴が大変醜く見えた。そのせいだったかも知れない。いや、それにちがいあるまい。何故なら、これまでそうしようと思えば、随分機会があったのに、あとにも先にもたった一度、よりによってその時だけ、そんな気になったのだから……。

お千鶴はおどろいて、おれの手を振りはらい、

「――転合しなはんな」

と、言って、あわてて帰って行ったが、むやみに尻を振り立てたその後姿が一層醜く見え、もうそれはおれの変な気持をそそるのを通り越した、むくつけき感じだったから、以後、おれもそんな振舞いに出るようなことはなかった。

ところで、お前は妾のことをお千鶴に嗅ぎつけられても、一向平気で、それどころか、霞町の本舗でとくに容姿端麗の女事務員を募集し、それにも情けを掛けようとした。