Classici giapponesi con furigana
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きじゅつこうあんぎょう
奇術考案業
長谷川 伸
Leggi 奇術考案業 (きじゅつこうあんぎょう) di 長谷川 伸 (はせがわしん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4145 caratteri · 9 schermate
浮かぬ顔をそれから幾日かしていた弥兵衛は、三百円には手もつけず、思い捨てて箪笥の底へ投げ込んでおいた。しかし、後にはつかった。
「俺はもうあんな考案はしまい」
と決心してみると意地悪く、ひょいひょいと面白い考案が湧いて出てくる。
「いけないなあ」
自制しても効能はそのときだけで、蒲団の中で寝つく前、不浄場にいるとき、さては新聞をひろげているときまで、新奇な考案が湧いて出る――もっともそれは考案の素材だけではあるが――で、とうとう弥兵衛は有害ならざる物としての考案をすすめはじめた。そうなると落ちつく処は所謂「ずまのネタ」である。
こうして出発した弥兵衛の渡世であった。しかし、それを本職の者へ売る路は開けてなかった。恰度その頃、有名な奇術の梅玉斎仙辰がその土地へ興行にきた。売り物は「懸賞百円魔法樽」である。樽の中から他人手を借りずに出てきたら懸賞金をやるというのである。弥兵衛は早速いってみて樽の中へはいった。弥兵衛は自分では出られなかったが、翌日懸賞金と同じ額の金百円を口どめ料とも何ともつかず貰った。弥兵衛は雑作なくネタを観破して、仙辰を訪れて度肝を抜いてやったのみではなかった。