Classici giapponesi con furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Leggi 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.713 caratteri · 28 schermate
洗練された洋装、コバルト色の小さいスーツケースを持って、ややルージュの濃い、何んとなく颯爽としたのが、口笛でも吹きたそうな、靴の踵でリズムを取り乍ら、もう一度、
「御免遊ばせ」
明るくこう訪れるのでした。
「どなた様で」
そう言い乍ら、婆やのお倉は、ハンドルを廻して開けた扉――満身の秋の陽を浴びて立っている訪問者を一と目見ると、
「まア」
危うく倒れそうになりました。
頭から冷水をブッ掛けられたような恐怖が、サッと全身を走ります。
「あの、旦那様はいらっしゃいましょうか」
その声までが半歳前に死んだ、夫人の由紀子そっくりではありませんか。
少し顔が肉付いて、化粧が派手で、何んとなく軽快で爽やかですが、背丈から品の良い顔形ち、物をジッと見詰める眼の色までが、死んだ人そっくりというよりは、死んだ人その儘なのです。
「私は由紀子の妹の寿美子ですが、姉が死んだときいて、北海道から参りました」
「え、あの、奥さんのお妹さんで、まア、まア、まア」
婆やのお倉の驚きは大袈裟でした。白日の幽霊を見たような恐ろしい恐怖から解放されると、不思議な神業――こんなにもよく似た双生児の妹の思わぬ出現に、すっかり度胆を抜かれてしまったのです。