Classici giapponesi con furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Leggi 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.161 caratteri · 26 schermate
一年経ったならば、鈴子の聡明さで、悪人の本性を見破れない筈はあるまいと思ったのだ。そうすれば、私の処置が老人の醜い嫉妬のためで無かったとわかってくれるだろう。私の死んだ後で、鈴子は誰と再婚しようとそれは勝手だ。鈴子の幸福のために、私も心からそれを望んでやまないが、小切手偽造犯人や、二重結婚者で、私を毒殺した相手とだけは一緒になってもらい度くない。一年経って鈴子がまだ悪人の本性が見破れなかったら、このレコードに吹込んだ遺言状で、悪人を告発し、鈴子を救う外は無い。
レコードを逆廻しに吹込んだのは、万一の場合にも悪人に覚られない為だ。吹込みレコード会社の好意でそれは出来上ったが、どうせ悪人に知れずに済むまいと思って、レコードは佐瀬弁護士に、レコード箱の鍵はわざと森川森之助に預けて置く。
レコードを逆に廻す事は、レコード通の望月辛吉君が気が付いてくれるだろう。万一気が付かなければこのゲームは私の負けだ。
さて最後に私を殺し、数十万円の小切手を偽造し、二重結婚を企らんでいる稀代の悪人の名を言おう、それは――「森川森之助だ」
レコードは終りました。ハッと息を呑んで四方を見廻すと、其処にいた筈の森川森之助は、何処へ行ったか影も形もありません。