Classici giapponesi con furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Leggi 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.235 caratteri · 22 schermate
江守銀二はその当時のことを回想するらしく、強い近視の眼をトロトロと細くしました。
「それから私は、菊坂町の下宿屋から、毎日毎日その西洋料理屋に通って、毎日毎日ライス・カレーを食べました。雨が降っても、風が吹いても、雪が降っても、私はその西洋料理屋に通って、一と皿のライス・カレーを食べない日は無かったのであります」
なんという馬鹿馬鹿しい事を話す男でしょう。主人と四人の客は、呆れ返って顔を見合わせるばかりです。
「私の皮膚は黄色になって、私の財布は屡々空っぽになりました。が、私は辞書を売ったり、羽織を質に置いたり、友達から借金をしたり、あらゆる苦労を重ねながらも、馬鹿な深草の少将が百夜通いをする熱心さで、さる大学の文科を卒業するまで、実に三ヶ年の間、本郷の通りのさる小さい西洋料理屋のライス・カレーを食べ続けたのであります。その間に私の友人達は、私の迂愚と偏見を憐んで、名ある大西洋料理屋の、有名なライス・カレーを食わせてくれました。新宿の中村屋の印度風の肥育軍鶏のカレー・ライスなどは、その代表的なものでありましたが、悲しいことには私にとって、本郷通りの小さな西洋料理屋の水っぽいライス・カレーの方が、遥かに遥かに心引かれたのであります。