Classici giapponesi con furigana
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きぞくはしはらう
奇賊は支払う
海野 十三
Leggi 奇賊は支払う (きぞくはしはらう) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7269 caratteri · 15 schermate
強烈にして芳醇なる蒸発性物質が名探偵の鼻口を刺戟したらしく、彼は大きなくしゃみと共に生還したのであった。彼は大急ぎで自らベールをかきあげ、それから顔全体を包んでいた樹脂性マスクをすぽんと脱ぎ、瀕死の狼が喘いでいるような口へ、コップのふちを嵌めこんだのだった。彼の咽喉がうまそうに鳴って、やがて空のコップが卓子へ置かれたとき、彼はどうやらものを言えるだけの元気を回復していた。
「いや、どうもひどい目に遭いましたよ。全く話になりません」
探偵猫々は、そういいながらマッチをする手付をしてみせた。
「名探偵がひどい目にあったと仰有るからには、本当にたいへんだったんでしょうな」
と苅谷氏は探偵に葉巻の箱を差出しながらいった。
「マッチをお持ちですか。いや、ライター結構」
と探偵は紫煙が濛々と出るまでライターに吸付いていた。
「なにしろ、私の扱った夥しい探偵事件の中において、今回の事件ほどひどい目に遭ったことはありません。文字通り心身共に破滅に瀕するという始末です」
「一体どうしたというわけですか。誘拐された先で、どんな目にお遭いなすったんで……」
探偵猫々はそれには応えず、瞑目したまましばし額をおさえていた。