Classici giapponesi con furigana
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きぐう
奇遇
Leggi 奇遇 (きぐう) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6238 caratteri · 13 schermate
「僕の鶯鶯なぞと云うものはない。が、僕の恋をしている女はある。僕が去年の秋以来、君たちと太白を挙げなくなったのは、確かにその女が出来たからだ。しかしその女と僕との関係は、君たちが想像しているような、ありふれた才子の情事ではない。こう云ったばかりでは何の事だか、勿論君にはのみこめないだろう。いや、のみこめないばかりなら好いが、あるいは万事が嘘のような疑いを抱きたくなるかも知れない。それでは僕も不本意だから、この際君に一切の事情をすっかり打ち明けてしまおうと思う。退屈でもどうか一通り、その女の話を聞いてくれ給え。
「僕は君が知っている通り、松江に田を持っている。そうして毎年秋になると、一年の年貢を取り立てるために、僕自身あそこへ下って行く。所がちょうど去年の秋、やはり松江へ下った帰りに、舟が渭塘のほとりまで来ると、柳や槐に囲まれながら、酒旗を出した家が一軒見える。朱塗りの欄干が画いたように、折れ曲っている容子なぞでは、中々大きな構えらしい。そのまた欄干の続いた外には、紅い芙蓉が何十株も、川の水に影を落している。僕は喉が渇いていたから、早速その酒旗の出ている家へ、舟をつけろと云いつけたものだ。