Classici giapponesi con furigana
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ちぎりきぬ
契りきぬ
山本 周五郎
Leggi 契りきぬ (ちぎりきぬ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 32.757 caratteri · 66 schermate
「いや、なんでもない、もういい」
冷やかな、そっけない声であった。なつと呼びかけた声とはまるでうらはらな、とりつくしまのない、つき放すような調子である。……おなつは辱しめられた者のように赤くなり、挨拶の言葉も云うことができず、逃げるように障子を閉めて去った。
――あの方は自分にひかれているのだろうか、それともまるで関心をもっていないのだろうか。
おなつにはどうしても、その判断がつかないうちに、日が経っていった。精之助の話した叔父に当る人とその妻女が訪ねて来たのは、そんなことがあってから三日ばかりのちのことである。三枝内記という人は四十五六、妻女は一つ二つ下であろう、どちらも肥えているし、どちらも解放的な性分らしく、来るとすぐからおなつに親しく呼びかけ、もうながい知り合いかなんぞのように話したり笑ったりした。
「わたくしたいへんな汗かきなんですよ、それだもんでいつも御馳走になったあとでお風呂を頂くの、可笑しいでしょ、なつさんでもほかのおよばれはできないわね」
妻女はこう云って、汗になった衿元などを見せるようなじかな親しさを示した。
「わたくしあとでおながし申します」