Classici giapponesi con furigana
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ちぎりきぬ
契りきぬ
山本 周五郎
Leggi 契りきぬ (ちぎりきぬ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 32.757 caratteri · 66 schermate
「まあとにかくおちつきなさいよ」
いねはこう云って、びっくりしている鷹二郎をあやし、自分のほうへ抱き取った。そのとき障子をあけて、精之助がそこへはいって来たのである。
「――ああ」
おなつは叫んで立とうとするようにみえたが、身が竦んで動くことができず、わなわなと震えながら脇へ顔をそむけた。――いねもなにか云おうとしたが、もはや自分の口をだすばあいではないと思ったのだろう、子供を抱いて、立ちあがって、そっと廊下へ出ていった。
「なつ、――逢いたかった」
精之助はそう云って、そこへ坐った。
「おまえどうして家を出たんだ、あの晩あれだけ云ったのに、おまえには、おれが信じられなかったのか」
おなつは黙って震えていた。
「まだ式も挙げず、ちゃんと話も定めないうちに、ああいうことになったのは、おれが悪かったかもしれない。慥かに常識はずれであった。しかしあのときは、おれには、そうするほかに思案がつかなかったのだ。初めからのことをすっかり云ってしまおう」
彼はこう云って、静かに語りだした。――おなつが北原の家に来てまもなく、衣巻たちの例の仲間と『みよし』へいった。そしてお菊から、おなつのたくらみを聞いた。