Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おくさんのいえで

奥さんの家出

国枝 史郎

Leggi 奥さんの家出 (おくさんのいえで) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.851 caratteri · 28 schermate

Aozora Bunko

答えは恐ろしく簡単であった。

「間違いは無い。あの種の女さ」

「何故こんなことをするのだろう?」その答えも簡単であった。「他に何がある、生活うためさ」

「だってこんな白昼に?」「白昼だからこそ商売になる」

顔にも姿にも手の指にも、あざやかな輪廓を持っていた。そうして特別に横顔が可かった。(これこそ何より大切なことさ!)

陰影のキッパリした女であった。(だから大概身分は解る!)

依然私はこだわらなかった。彼女の自由になっていた。

とはいえ何うしても東の方へだけは、私は顔を向けなかった。彼等の仲間がいるからであり、それが怖かったからである。

遊動円木、機械体操、廻転箱、また鞦韆、……そういうものの揃っている、小運動場の一画へ来た。

咲きはじめた藤の棚があった。

新樹が夫れらを引っ包み、大切そうに保護していた。

何方を見ても人気が無い。

十日前だったら大変だったろう。桜の花を見る人で、ごった返していただろう。潮の引いた後は寂しいものだ。

小運動場から二十歩あるき、またベンチへ引っ返えした。展望台を兼有した、水禽の檻まで来たのである。

「一番ここが可さそうだ」この考えは誤りはあるまい。