Classici giapponesi con furigana
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おくさんのいえで
奥さんの家出
国枝 史郎
Leggi 奥さんの家出 (おくさんのいえで) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.851 caratteri · 28 schermate
――そういう動物がつけていた。
間もなく私の知ったことは、私をつけている不良青年は、一人では無いということであった。幾人もつけているということであった。
と云う証拠を発見したのは、番人の家まで来た時である。
鉛色の唇をした不良青年が、持っていた杖をヒョイと上げて、或る方面へ夫れとなく、合図めいたことをしたからである。
「ふん」と私は鼻を鳴らした。「知ってるよ、知ってるよ、感付いているよ」
関わろうとはしなかった。
私はノロノロと歩いて行った。
後からノロノロとついて来る。
「知ってるよ、知ってるよ、感付いているよ」
そうして私はこうも思った。
「こんな俺のような服装をして、こんな遊園地を歩いていたのでは、餌食にしようと考えて、彼奴等が後をつける筈だ。もうもう是は当然だ」
――ままにするがいいさ――こう思った。
――勝手に餌食にするがいいさ。
――それで君達が生活るなら。
生活るかね! 生活るかね! ……セセら笑いたいような気持もした。
いや実際こぢんまりとした――そうしてひどくひっそりとした――散歩客が殆どいないので――寂しい迄の遊園地である。
ここで悪事を働いても、滅多に騒ぎにならないだろう。