Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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にょきゃくいっしゅうかん

女客一週間

豊島 与志雄

Leggi 女客一週間 (にょきゃくいっしゅうかん) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.724 caratteri · 26 schermate

Aozora Bunko

その側へ、彼女は寄ってきた。

「あなたは、松浦って人、御存じ?」

「松浦……知らないね。」

「じゃあ、中江さんは?」

「中江……知らないね、そんな人は。」

「…………」

「どういう人だい、それは……。」

「それでいいわ。それから、あたしね、モデル女だとしといて頂戴。少し変かも知れないけれど……。」

「…………」

じっと見入ってくる彼女の眼は、妙に真剣だった。真面目な秘密がその底にあるらしい。色恋の背景じゃない。何かしら生活的な背景だ。蓄音器のジャズに合して足ぶみをしたり、酔っ払った真似をしたり、処女でなければ出ないような甲高い叫び声で、客のわるふざけをけとばしたり、そして常に快活で陽気な、バーの彼女、それがいつもより理知的になって、――思いなしか、皮下の贅肉も少く、強健そうで、信頼のこもった真剣さを見せている。

「よろしい、君の云う通りにしておこう。安心し給え。」

島村が手を差出すと、彼女は力強くそれを握りしめた。それをまた、島村は握り返した。彼も調子がとれなかったのだ。酔うとだらしがなくなって、やたらにはしごで、与太をとばして歩く、そういう時にしか逢ったことのないキミ子だ。