Classici giapponesi con furigana
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おんなごころしゅうい
女心拾遺
矢田 津世子
Leggi 女心拾遺 (おんなごころしゅうい) di 矢田 津世子 (やだつせこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 17.514 caratteri · 36 schermate
それが、還暦の祝いをすませた頃からだんだんにあそびが納まって、骨董の蒐集へと心が傾いていった。何処で掘り出したのか、金泥の剥げた大時代ものの仏像を床の間にすえて、いかにも娯しそうに撫でてみたり、叩いてみたり、仰反って堪能するまで眺めている容子には、これまでの惰性からあそびの仕草がくりかえされている、ただ、老齢が世間を憚かってその対象をとり代えたにすぎない、とも見うけられた。
万年青いじりがすむと唐沢氏は茶の間に寛いで、老夫人の点てた末茶を一服喫んでから、洋服に着換えていつものように九時十分前に玄関へ降りた。女中のおしもに靴の紐を結ばせながら、式台に膝をついて見送っている老夫人を振りかえって、
「名医はまだ起きんのか?」
ときいた。大学の医学部に学んでいる息子の慶太郎を、こんな愛称で呼び慣れている。
「なんですか、昨夜は遅くまで起きて居りましたようで……」
夫人のとりなしには構いつけない容子で、
「慶太郎! おい、慶太郎!」
階段へ向って大声に呼ばわりながら、握っていた籐のステッキで性急に沓脱石を叩いた。
「ひどいなあ、お父さん、ゆうべは僕、徹夜だったんですよ」