Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
ようそうき
妖僧記
泉 鏡花
Leggi 妖僧記 (ようそうき) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N1. Tocca una parola per il significato.
N1 · avanzato · kanji e kana moderni · 5972 caratteri · 12 schermate
呼吸を殺して従い行くに、阿房はさりとも知らざる状にて、殆ど足を曳摺る如く杖に縋りて歩行み行けり。
人里を出離れつ。北の方角に進むことおよそ二町ばかりにて、山尽きて、谷となる。ここ嶮峻なる絶壁にて、勾配の急なることあたかも一帯の壁に似たり、松杉を以て点綴せる山間の谷なれば、緑樹長に陰をなして、草木が漆黒の色を呈するより、黒壁とは名附くるにて、この半腹の洞穴にこそかの摩利支天は祀られたれ。
遥かに瞰下す幽谷は、白日闇の別境にて、夜昼なしに靄を籠め、脚下に雨のそぼ降る如く、渓流暗に魔言を説きて、啾々たる鬼気人を襲う、その物凄さ謂わむ方なし。
まさかこことは想わざりし、老媼は恐怖の念に堪えず、魑魅魍魎隊をなして、前途に塞るとも覚しきに、慾にも一歩を移し得で、あわれ立竦になりける時、二点の蛍光此方を見向き、一喝して、「何者ぞ。」掉冠れる蝦蟇法師の杖の下に老媼は阿呀と蹲踞りぬ。
蝦蟇法師は流眄に懸け、「へ、へ、へ、うむ正に此奴なり、予が顔を傷附けたる、大胆者、讐返ということのあるを知らずして」傲然としてせせら笑う。
これを聞くより老媼はぞっと心臓まで寒くなりて、全体氷柱に化したる如く、いと哀れなる声を発して、「命ばかりはお助けあれ。