Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ようば

妖婆

芥川 竜之介

Leggi 妖婆 (ようば) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 37.473 caratteri · 73 schermate

Aozora Bunko

じゃありませんか。一度などはお敏が心配して、電燈を片手に雨戸を開けながら、そっと川の中を覗いて見たら、向う岸の並蔵の屋根に白々と雪が残っているだけ、それだけ余計黒い水の上に、婆の切髪の頭だけが、浮巣のように漂っていたそうです。その代りこの婆のする事は、加持でも占でも験がある――と云うと、善い方ばかりのようですが、この婆に金を使って、親とか夫とか兄弟とかを呪い殺したものも大勢いました。現にこの間この石河岸から身を投げた男なぞも、同じ柳橋の芸者とかに思をかけたある米問屋の主人の頼みで、あの婆が造作もなく命を捨てさせてしまったのだそうです。が、どう云う秘密な理由があるのか、一人でもそこで呪い殺された、この石河岸のような場所になると、さすがの婆の加持祈祷でも、そのまわりにいる人間には、害を加える事が出来ません。のみならず、そこでしている事は、千里眼同様な婆の眼にも、はいらずにすむようですから、それでお敏は新蔵を、わざわざこの石河岸へ呼び寄せたと云う次第なのです。

ではどう云う訣でお島婆さんが、それほどお敏と新蔵との恋の邪魔をするかと云いますと、この春頃から相場の高低を見て貰いに来るある株屋が、お敏の美しいのに目をつけて、大金を餌にあの婆を釣った結果、妾にする約束をさせたのだそうです。