Classici giapponesi con furigana
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ようふ
妖婦
織田 作之助
Leggi 妖婦 (ようふ) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6892 caratteri · 14 schermate
父親は律義な職人肌で、酒も飲まず、口数も尠なかったが、真面目一方の男だけに、そんな新太郎への小言はきびしかった。しかし家附きの娘の母親がかばうと、この父も養子の弱身があってか存外脆かった。母親は派手好きで、情に脆く、行き当りばったりの愛情で子供に向い、口数の多い女であった。
安子はそんな母親に育てられた。安子は智慧も体も人なみより早かったが、何故か口が遅く、はじめは唖ではないかと思われたくらいで、四つになっても片言しか喋れなかった。しかし安子は口よりも顎で人を使い、人使いの滅法荒い子供だったが、母親は人使いの荒いのは気位の高いせいだとむしろ喜び、安子にはどんな我儘も許し贅沢もさせた。
たしかに安子は気位が高く、男の子からいじめられたり撲られたりしても、逃げも泣きもせず涙を一杯溜めた白い眼で、いつまでも相手を睨みつけていた。かと思うと、些細なことで気にいらないことがあると、キンキンした疳高い声で泣き、しまいには外行きの着物のまま泥んこの道端へ寝転ぶのだった。欲しいと思ったものは誰が何と言おうと、手に入れなければ承知せず、五つの時近所の、お仙という娘に、茶ダンスの上の犬の置物を無心して断られると、ある日わざとお仙の留守中遊びに行って盗んで帰った。