Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ようえい

妖影

大倉 燁子

Leggi 妖影 (ようえい) di 大倉 燁子 (おおくらてるこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.489 caratteri · 22 schermate

Aozora Bunko

それを追い出そうとして、昨日食事中にごらんになったあの空中に文字を書くような、変てこなヂェスチュアをやったのです。すると、白いものが云いました。

『恐がってはいやよ。私は生きていたのよ。死にやしません。誰だか指輪を盗もうとして私の指を断ったのよ。血が流れて、その痛さで気がついたんですの』

血のしたたっている手を見ました。白い着物はもう血だらけでした。

私は息が吐けなくなりました。夢なんだか、事実なんだか分りません。化物にしろ、何にしろです、娘の形をしているのですから、嬉しくって夢中でその手を取りました。その手は死人のように冷めとうございました。

私は娘を抱くようにして自分の室へ連れて来ました。肱掛椅子に寄りかからせて早速傷の手当をいたしました。そして娘の真青な顔に凝と見入りました。お化けではありません。確かに娘です。私は何だか急に胸が一杯になって、狂気のようになり娘の膝に頭をのせ咽び泣きをいたしました。

軈て少し心が落ちつきますと、室内の余りに冷えきって寒いのに気がつきました。いそいでストーヴに火を焚きつけました。何か暖かいものでも食べさしてやりたいと思って、烈しくベルを押し黄を呼びました。