Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ようえい

妖影

大倉 燁子

Leggi 妖影 (ようえい) di 大倉 燁子 (おおくらてるこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.489 caratteri · 22 schermate

Aozora Bunko

惜しいことに余りにも全身衰弱しきっていて、歩くことさえ大儀そうで、見ていても痛々しく窶れ果てている。

席につく時軽く会釈しながら、ちらりと目を上げて私の方を見た。その眼の奇麗さにまず驚いてしまった。体は、疾くに死んでいるのに、目だけが生きている、といった感じだが、その寂しい美しさが私の心を掻き乱すのだった。今までにこれほど恐しい魅力のある眼に出会った事がなかった。私は彼女の一瞥にすっかり魂を奪われてしまったと云ってもよかった。

食事がすんでから、一人で甲板の上をぶらぶら散歩していた。どうも今見た二人が気に懸ってならない。食事が済んだら必ず甲板に出て来るだろう。と心待ちにしていたがなかなかやって来なかった。病人だから室へ帰っているかも知れない。私は何となく物足りないような気がした。

蒸し暑い晩だ。

月もいいし、狭いキャビンに帰ってしまうのが惜しくって、つい夜を更してしまった。寝苦しいと見えて、一度寝に帰って行った人々までがまた甲板へ上って来たりしていたがいつの間にか皆各自の室へ引きとってしまって、残っているのは私一人きりだった。

「そろそろ寝るかな」