Classici giapponesi con furigana
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おばけのこえ
妖怪談義
柳田 国男
Leggi 妖怪談義 (おばけのこえ) di 柳田 国男 (やなぎたくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7618 caratteri · 16 schermate
出たのはせいぜい七八個で、その頃はまだ盛んに通用していた際だから、珍しいことも何もないのだが、土中から出たということ以外に、それが耳白のわざわざ磨いたかと思うほどの美しい銭ばかりであったために、私は何ともいい現わせないような妙な気持になった。
これも付加条件であったかと思うのは、私は当時やたらに雑書を読み、土中から金銀や古銭の、ざくざくと出たという江戸時代の事実を知っていて、そのたびに心を動かした記憶がたしかにある。それから今一つは、土工や建築に伴なう儀式に、銭が用いられる風習のあることを少しも知らなかった。この銭はあるいは土蔵の普請の時に埋めたものが、石の祠を立てる際に土を動かして上の方へ出たか、又は祠そのものの祭のためにも、何かそういう秘法が行なわれたかも知れぬと、年をとってからなら考える所だが、その時は全然そういう想像は浮かばなかった。そうして暫らくはただ茫然とした気持になったのである。幻覚はちょうどこの事件の直後に起こった。どうしてそうしたかは今でも判らないが、私はこの時しゃがんだままで、首をねじ向けて青空のまん中より少し東へ下ったあたりを見た。