Classici giapponesi con furigana
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いもうとのし
妹の死
中 勘助
Leggi 妹の死 (いもうとのし) di 中 勘助 (なかかんすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 8837 caratteri · 18 schermate
蒼白く弱弱しい皮膚のうえに、それはかつて妹の容貌のうちでいちばん美しいものであったところの柔くひいた眉がまえよりも濃くのびらかになったようにみえる。どこといってとりたてて目にたつのではないがすべてが尋常に人好きのするほうであった顔になにかいい意味で技巧のかおりのする彫刻的な美しさがそわっている。――私は後にはからずその似顔を能面の孫次郎に見出した。妹も能が好きだった。それゆえ彼女が私のためになんぞ骨の折れることや気のすすまぬことをしてくれたときには「御褒美だ」といってよく能につれていった。そんなことのために私はこの小品に 孫次郎 という表題をつけようかと思ったこともあった――私と不意の久しぶりの顔を見あわせてから暫くして妹は
「□□さんたいへんふとったわね」
といった。これが最初の言葉だったかもしれない。挨拶なぞはしていられないほど衰えていたのだ。
どんなところかと思ってきたら妹はぽっつりと土塀にかこまれた陰気な家に住んでいた。病室のまえの二坪か三坪の地面にひばが四、五本ならんで、土塀のうえの瓦のすきまにつんぼ草がからからにはえている。ときどき色のうすい弁慶蟹が目をうごかしながらじわじわとはいあるく。