Classici giapponesi con furigana
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おんなけいず
婦系図
泉 鏡花
Leggi 婦系図 (おんなけいず) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 172.760 caratteri · 343 schermate
ちょいと、風邪を引くよ、と先刻から、隣座敷の机に恁っかかって絵を描きながら、低声で気をつけたその大揺れの船が、この時、最早や見事な難船。
お妙はその状を見定めると、何を穿いたか自分も知らずに、スッと格子を開けるが疾いか、身動ぎに端が解けた、しどけない扱帯の紅。
五十九
「厭よ、主税さん、地方へ行っては。」
とお妙の手は、井戸端の梅に縋ったが、声は早瀬をせき留める。
「…………」
「厭だわ、私、地方へなんぞ行ってしまっては。」
主税は四辺を見たのであろう、闇の青葉に帽子が動いた。
「直き帰って来るんですからね、心配しないで下さいよ。」
「だって、直だって、一月や二月で帰って来やしないんでしょう。」
「そりゃ、家を畳んで参るんですもの。二三年は引込みます積りです。」
「厭ねえ、二三年。……月に一度ぐらいは遊びに行った日曜さえ、私、待遠しかったんだもの。そんな、二年だの、三年だの、厭だわ、私。」
お妙は格子戸を出るまでは、仔細らしく人目を忍んだようだけれども、こうなるとあえて人聞きを憚るごとき、低い声ではなかったのが、ここで急に密りして、
「あの、貴下、父様に叱られて、内証の……奥さん、」