Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おんなけいず

婦系図

泉 鏡花

Leggi 婦系図 (おんなけいず) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 172.760 caratteri · 343 schermate

Aozora Bunko

ボオイが剰銭を持って来て、夫人の手に渡すのを見て、大照れの主税は、口をつけたばかりの珈琲もそのまま、立ったなりの腰も掛けずに、

「ここへも勘定。」

傍へ来て腰を屈めて、慇懃に小さな声で、

「御一所に頂戴いたしました、は、」

「飛んでもない、貴女、」

と今度は主税が火の附くように慌しく急って云うのを、夫人は済まして、紙入を帯の間へ、キラリと黄金の鎖が動いて、

「旅馴れた田舎稼ぎの……」

(女俳優)と云いそうだったが、客が居たので、

「女形にお任せなさいまし。」

とすらりと立った丈高う、半面を颯と彩る、樺色の窓掛に、色彩羅馬の女神のごとく、愛神の手を片手で曳いて、主税の肩と擦違い、

「さあ、こっちへいらしって、沢山お煙草を召上れ。」

と見返りもしないで先に立って、件の休憩室へ導いた。背に立って、ちょっと小首を傾けたが、腕組をした、肩が聳えて、主税は大跨に後に続いた。

窓の外は、裾野の紫雲英、高嶺の雪、富士皓く、雨紫なり。

五

聞けば、夫人は一週間ばかり以前から上京して、南町の桐楊塾に逗留していたとの事。桜も過ぎたり、菖蒲の節句というでもなし、遊びではなかったので。