Classici giapponesi con furigana
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おんなけいず
婦系図
泉 鏡花
Leggi 婦系図 (おんなけいず) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 172.760 caratteri · 343 schermate
の前に主人の理学士がただ一人、下宿屋に居て寝坊をした時のように詰らなそうな顔をして、膳に向って新聞を読んでいた。火鉢に味噌汁の鍋が掛って、まだそれが煮立たぬから、こうして待っているのである。
気軽なら一番威かしても見よう処、姉夫人は少し腰を屈めて、縁から差覗いた、眉の柔な笑顔を、綺麗に、小さく畳んだ手巾で半ば隠しながら、
「お一人。」
「やあ、誰かと思った。」
と髯のべったりした口許に笑は見せたが、御承知の為人で、どうとも謂わぬ。
姉夫人は、やっぱり半分隠れたまま、
「滝ちゃんや、透さんは。」
「母様が出掛けるんで、跡を追うですから、乳母が連れて、日曜だから山田(玄関の書生の名)もついて遊びです。平時だと御宅へ上るんだけれど、今日の慈善会には、御都合で貴女も出掛けると云うから、珍らしくはないが、また浅間へ行って、豆か麩を食わしとるですかな。」
「ではもう菅子さんは参りましたね。」
「先刻出たです。」
なぜ待っててくれないのだろう、と云う顔色もしないで、
「ああ、もっと早く来れば可うござんした。一所に行って欲しかったし、それに四五日お来えなさらないから、滝ちゃんや透さんの顔も見たくって、」