Classici giapponesi con furigana
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おんなけいず
婦系図
泉 鏡花
Leggi 婦系図 (おんなけいず) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 172.760 caratteri · 343 schermate
そんな隙潰しをしないでも、交際会の会費なら、その場で請取って直ぐに払いを済したら好さそうなものだが、一先ず手許へ引取って、更めて夫子自身を労するのは? 知らずや、この勘定の時は、席料なしに、そこの何とか云う姉さんに、茶の給仕をさせて無銭で手を握るのだ、と云ったものがある。世には演劇の見物の幹事をして、それを縁に、俳優と接吻する貴婦人もあると云うから。
もっともこれは、嘘であろう。が、会費を衣兜にして、電車に乗ったのは事実である。
「ええ、込合いますから御注意を願います。」
礼之進は提革に掴りながら、人と、車の動揺の都度、なるべく操りのポンチたらざる態度を保って、しこうして、乗合の、肩、頬、耳などの透間から、痘痕を散らして、目を配って、鬢、簪、庇、目つきの色々を、膳の上の箸休めの気で、ちびりちびりと独酌の格。ああ、江戸児はこの味を知るまい、と乗合の婦の移香を、楽みそうに、歯をスーと遣って、片手で頤を撫でていたが、車掌のその御注意に、それと心付くと、俄然として、慄然として、膚寒うして、腰が軽い。
途端に引込めた、年紀の若い半纏着の手ッ首を、即座の冷汗と取って置きの膏汗で、ぬらめいた手で、夢中にしっかと引掴んだ。