Classici giapponesi con furigana
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ボンベイそうわ
孟買挿話
吉行 エイスケ
Leggi 孟買挿話 (ボンベイそうわ) di 吉行 エイスケ (よしゆきえいすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.299 caratteri · 20 schermate
ときによってジャズ・バンドがビビの音楽をやっているとき、死海の水に映って正気を失った士官に貴女が抱かれて、独逸仕込の接吻の洪水のなかで、彼奴がロメオとジュリエットの名台詞を彼がネロのようにそりかえって早口で喋舌るときは全く貴女を薄倖の踊子だとさえ思ったのです。その夜ルーマニア人が浮気の虫を……におろしに行った間、
「――おい、Y、今晩はおれにつきあえよ――」
と、貴女が云ったのです。それから寝室で始めて貴女が正体もなく酔ってるってことがわかったのです。それからまた夜半になって貴女が金羊毛の名にふさわしくないところがあるのに気付いたのですが、そのときには私はあの卑怯なルーマニアの暴漢のために、近東行きの列車に投げ込まれてしまっていたらしいのです。だがそのことにもまして私が云いたいのは、そのときから私は貴女を愛していたのです。そしていまもなお私の愛に変りのないことを知ってもらいたいのです。
――妾はルーマニア人と契約しただけなのです。ルーマニア士官の妾がパートナアであった間、彼の男の訓練があまりに深刻なので妾には感覚したり、知覚したり、思考したりする余裕がなかったのです。