Classici giapponesi con furigana
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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Leggi 季節のない街 (きせつのないまち) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 201.379 caratteri · 394 schermate
ここの住民がまず驚いたのは、おるいさんの物持ちのいいことであった。天気さえよければおるいさんは一日じゅう、いや、殆んどというべきだろうが、いつも水道端にいて、なにかかにか洗い、器物類は家の横に並べて乾した。――それらは古い箱膳や、椀や、箸、おはち、下駄、足駄、傘、ゴム底の足袋、古いゴム長靴、ゴム引きの雨外套に、ゴム引きの雨天用帽子、などといった類であるが、その中には三、四十本の杉の割箸がめだっていた。この「街」の人たちはてん屋ものなどを取る例は稀だが、そば屋とか大衆食堂などで、杉の割箸を出すぐらいのことは知っていた。けれどもそういう店から割箸を持って帰るようなことはない。もし割箸があるとすれば、そばとか丼物とか、なにかを家へ取ったことがあるのだろう、長屋のかみさんたちはそうにらんだ。
「みせびらかしてるんだよ」と一人のかみさんは云った、「昔はいいくらしをしていて、毎日のようにてん屋ものを取って喰べてたんだからねって、きっとそれにちがいないよ」
そして或るとき、おせっかいなかみさんの一人が、そのことをおるいさんにほのめかしてみた。
「いいえとんでもない」