Classici giapponesi con furigana
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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Leggi 季節のない街 (きせつのないまち) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 201.379 caratteri · 394 schermate
徳さんはべつのときにまた囁いた、「あれは高利貸しのお先棒じゃない、どうも探偵社のようなところへ勤めてるらしい、ね、探偵社の勧誘員かなにかだとにらんだ、それが慥かなところらしいよ」
彼は次には、島さんを三百代言だと推察し、次にはなにか汚職関係で警察に手配されているため、こんなところに身をひそめているらしい、とにらんだ。そして次にはまた、――
これらはみな夜のしじまに、薄い壁ひとえ隣りから、話し声を聞いてさぐりだした情報であるが、だれにしろかれにしろ、まじめには受けとらなかったし、もともとそんな他人のことなどに関心はなかったのである。
島さんはたいてい十時ごろに家をでかけてゆき、帰りの時刻はまちまちである。夕方のときもあれば、夜半に帰ることもあった。
島さんはいつもきちんとしていた。古いけれども注文製らしい背広に、黒いソフト。自分で磨くのだそうだが、靴もきれいに手入れがしてあり、ステッキを左の腕に掛けていた。
「やあ、お早う」家から出て誰かに会うと、口髭の濃い上品な顔いっぱいに笑いをうかべ、右手でソフトをちょっと持ちあげて挨拶する、「いい天気だね、景気はどうです」