Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

Leggi 季節のない街 (きせつのないまち) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 201.379 caratteri · 394 schermate

Aozora Bunko

「僕はその人を本当の父だと思っていました、いまでもそうとしきゃ思えないんです」と辰弥は云った、「僕の下に弟二人と妹が生れました、それが父の子なんですが、父は弟たちよりも、僕をいちばん可愛がってくれました、叱ることも叱るけれど、叱りかたでも弟たちとは違うんです、僕は母よりも父のほうによけいあまえました」

辰弥は五歳のときから英語を教えられた。進駐軍は半永久的に日本を支配するだろう、だから英語ができなければ、これからの日本人は生きていけないんだ、と父は云った。

辰弥が十二のとき、家出をした兄が帰って来た。父が仕事で大阪へでかけた夜のことで、そのことを慥かめて来たらしい。固太りに肥えて眼が赤く、髪もぼさぼさだし髭だらけで、荒い呼吸はむせるほど酒臭かった。

母は泣きながらとびついた。

母は辰弥に、これがおまえのじつの兄さんだ、と告げたが、辰弥には信じられなかったし、弟や妹たちは側へ寄ろうともしなかった。兄であるかないかというより、こわい男だと思ったのだ。

としは満で二十二歳だったろう。しかし見たところはずっとふけていた。酔っているために赤かった眼や、黄色っぽい大きな歯や、ぶしょう髭の伸びた、固太りの、膏でぎらぎら光っている顔は、特攻隊くずれ、などといわれた若者たちのようだし、ことさらにやさしい作り声で話す口ぶり