Classici giapponesi con furigana
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ほうえいふんか
宝永噴火
岡本 かの子
Leggi 宝永噴火 (ほうえいふんか) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 31.505 caratteri · 62 schermate
一体どこに自分があるのだ。以前のニヒリスチックの気持の時は全く灰のように冷えてしまって、それは神経衰弱的な恐迫観念がときどき槍尖のように自分を襲って来たが、しかし、最後の落ち着きどころは空虚と見究めがついていたので、まだ自暴自棄の痛快味があった。だが、今度は生きながら人情のあたたかみや、憎みや、征服慾が生れ出て、それがもつれ絡んだままスランプに陥ってしまっただけ始末が悪かった。慧鶴はただふらふらそこらを、歩き廻った。
ちょうど、夏の初めであった。庭にはかんかん陽があたって蝉の声の降るなかにいちはつがちらほら咲いていた。庭に面した客座敷から、狭い縁側へかけて土用の虫干しをするため、一ぱい書物が並べられてあった。客座敷の隣になっている馬翁の書斎には、まだ拡げられない書物も高く並んで列を作っていた。馬翁はこれ等を、人手を借らずに並べ変えるのであったが、例の気まぐれから一日二日、大垣の町へ遊びに出かけて留守なので、書物は並べ放しにされていた。
むっとする黴臭いにおいを嗅ぎ、ぼろぼろの表紙や比較的新しい表紙に陽の当っているのを見下しながら慧鶴は本の間をしばらく歩き廻っていた。