Classici giapponesi con furigana
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ほうえいふんか
宝永噴火
岡本 かの子
Leggi 宝永噴火 (ほうえいふんか) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 31.505 caratteri · 62 schermate
源の富士の腰の火柱は、とても目映ゆくて見詰められなかった。強いて見詰めたものは、目を損いながら、火の柱の中に鬼神が珠を掴み上げる腕の形を見たとか、竜が噛み合う姿を見たとか言った。東の夜空に流れて行く煙の雲にも火は映って関東の方に真赤な大陸が生れて浮んでいるように見えた。それに較べて大地の物象はあまりに憐れな小さい姿となった。慧鶴はこんな、さまざまな今までには覚えたことのない気持に飜弄されながら坐禅を続けた。続けざるを得なかったのだ。富士と自分は、いま絶体絶命の試錬を受けつつあるのだ。この先、どうなって行くのか、一幕々々が命の底から揺り変える激しい代りであるだけに座は立たれなかった。いのち懸けの興味であった。寺は度々の地震ですっかり損じてしまい、竹籠のようになっていた。住持の透鱗はじめ僅かばかりの寺の人数は裏の竹藪の中に仮小屋を作りうずくまって住んでいた。慧鶴を心配して様子を見に来たり仮小屋へ連れ込もうとした。慧鶴は不愛想に断った。それでもう誰も彼を関いつけるものはなくなった。ただ一人実家の老僕の七兵衛だけがときどき食べものを運んで来た。慧鶴はそれで饑を凌ぎながら胆太く自分と富士の運命を見届けにかかった。