Classici giapponesi con furigana
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かれい
家霊
岡本 かの子
Leggi 家霊 (かれい) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9395 caratteri · 19 schermate
老人は見栄も外聞もない悦び方で、コールテンの足袋の裏を弾ね上げて受取り、仕出しの岡持を借りて大事に中へ入れると、潜り戸を開けて盗人のように姿を消した。
不治の癌だと宣告されてから却って長い病床の母親は急に機嫌よくなった。やっと自儘に出来る身体になれたと言った。早春の日向に床をひかせて起上り、食べ度いと思うものをあれやこれや食べながら、くめ子に向って生涯に珍らしく親身な調子で言った。
「妙だね、この家は、おかみさんになるものは代々亭主に放蕩されるんだがね。あたしのお母さんも、それからお祖母さんもさ。恥かきっちゃないよ。だが、そこをじっと辛抱してお帳場に噛りついていると、どうにか暖簾もかけ続けて行けるし、それとまた妙なもので、誰か、いのちを籠めて慰めて呉れるものが出来るんだね。お母さんにもそれがあったし、お祖母さんにもそれがあった。だから、おまえにも言っとくよ。おまえにも若しそんなことがあっても決して落胆おしでないよ。今から言っとくが――」
母親は、死ぬ間際に顔が汚ないと言って、お白粉などで薄く刷き、戸棚の中から琴柱の箱を持って来させて
「これだけがほんとに私が貰ったものだよ」