Classici giapponesi con furigana
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かれい
家霊
岡本 かの子
Leggi 家霊 (かれい) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9395 caratteri · 19 schermate
と言いかけるのを、年長の出前持はぐっと睨めて顎で指図をする。
「正直なとこを言ってやれよ」
そこで年少の出前持は何分にも、一回、僅かずつの金高が、積り積って百円以上にもなったからは、この際、若干でも入金して貰わないと店でも年末の決算に困ると説明した。
「それに、お帳場も先と違って今はお嬢さんが取締っているんですから」
すると老人は両手を神経質に擦り合せて
「はあ、そういうことになりましてすかな」
と小首を傾けていたが
「とにかく、ひどく寒い。一つ入れて頂きましょうかな」
と言って、表障子をがたがたいわして入って来た。
小女は座布団を出してはやらないので、冷い籐畳の広いまん中にたった一人坐った老人は寂しげに、そして審きを待つ罪人のように見えた。着膨れてはいるが、大きな体格はあまり丈夫ではないらしく、左の手を癖にして内懐へ入れ、肋骨の辺を押えている。純白になりかけの髪を総髪に撫でつけ、立派な目鼻立ちの、それがあまりに整い過ぎているので薄倖を想わせる顔付きの老人である。その儒者風な顔に引較べて、よれよれの角帯に前垂れを掛け、坐った着物の裾から浅黄色の股引を覗かしている。